2012年05月28日

Polyneoptera ファイロゲノミクス

Insect phylogenomics: results, problems and the impact of matrix composition.
Proc Biol Sci. 2012 May 23;
Letsch HO, Meusemann K, Wipfler B, Schütte K, Beutel R, Misof B


直翅系昆虫の単系統性にウェイトが置かれてるんだけど,その割にはカワゲラとかジュズヒゲとか超重要なサンプルが入っていなくて,これで Polyneoptera の単系統性が支持されました!ナナフシとシロアリモドキが姉妹群ですっ!って言われても,「で?」って感じかな.

系統関係の推定だけがこの論文の目的じゃないけど,そっちの議論はまだ読んでない.
posted by 茶坊主 at 11:20| Comment(0) | 六脚類

2010年11月19日

昆虫高次系統

もうすぐ授業だけど,メモらないわけにはいかない.

Phylogenetic relationships among insect orders based on three nuclear protein-coding gene sequences
Keisuke Ishiwata, Go Sasaki, Jiro Ogawa, Takashi Miyata and Zhi-Hui Sua
Molecular Phylogenetics and Evolution (in press)


結構解像度高い.完全変態昆虫はこれでほぼ間違いないだろう.ネジレ+鞘翅 (BS, PP 100) も膜翅最基部分岐 (BS 70, PP 100) も強く支持される.もはや完全変態最後の難問は,脈翅系3目間の関係にしぼられた感じ.ネジレが鞘翅に内包される可能性もまだあると思ってたりもするが.

半翅系昆虫はやっぱり難しい.形態で見ると,単系統性に疑いなさそうに見えるんだけど,分子では絶対側系統的になってしまう.この論文でもそうだ.もちろん支持率は低いけど.

直翅系の深い所はやっぱり不明確.Zoraptera, Embiodea, Phasmatodea, Plecoptera といった辺りのサンプリングが不十分な点も一因か.ただ,直翅系全体が単系統になっている点は極めて重要.分子からは初めての支持となる.BS 84, PP 100 と支持率も高い.形態からは,直翅系の単系統性に関して強いサポートはこれまで得られていないが,wing base を見る限り直翅系の単系統は間違いない.Wing base 論文は,4年間も温め続けてきたが(温め過ぎ?),今年中には投稿する(イントロ書き直す必要があるな…).

旧翅類の単系統性はどうだろう?Ephemeroptera があからさまに long branch になってるし.これで納得とは行かないな.

ということで,未解決問題はまだたくさんあるとしても,全体的には良い線行ってると思う.
posted by 茶坊主 at 09:14| Comment(0) | 六脚類

2010年03月11日

跳ねるゴキブリ

しばらくチェックしてませんでしたが,久しぶりに見てみたらArthropod Systematics & Phylogeny の最新号が出てました.大工さんの POY 仕事が出てたりもしますが,一番の注目は Jumping Cockroach! なんてすてきな造形なんだろう.
posted by 茶坊主 at 12:09| Comment(0) | 六脚類

2008年09月04日

リンネ特集

ちょっと古いけどメモ

Linnaeus Tercentenary:
Progress in Invertebrate Taxonomy
ZHANG, Z.-Q. & SHEAR, W.A. (Eds)
Zootaxa 1668: 1-766


蜻蛉目,総翅目,膜翅目,双翅目,毛翅目,鱗翅目の高次分類,系統のレビューを含む.
posted by 茶坊主 at 10:15| Comment(0) | 六脚類

2008年07月04日

Arthropod Systematics and Phylogeny

Arthropod Systematics and Phylogeny の最新号がオンライン公開されています.

トンボの高次系統,腹部の形態など面白そうな論文に加え,今回の最注目は,昆虫の翅と飛行の初期進化に関する論文.まだほとんど読でないけど,paranotal theory からのアプローチのようで,鰓起源説が有力となりつつある中,非常に興味深い.
posted by 茶坊主 at 14:01| Comment(2) | 六脚類

2008年04月04日

Kukalova-Peck

Kukalova-Peck という人は,昆虫の祖先形質状態に関して非常に大胆な仮説を提唱している化石研究者です.しかし,現生昆虫に比べてはるかに状態の悪い化石から,現生昆虫ですら観察が困難な微細構造を描き出しており,彼女の化石の解釈に関しては(ぼくも含め)多くの研究者から疑問の声が上がっていました.

下記の論文は,そう言った疑問に対する決定打となりうる論文です.

OLIVIER BÉTHOUX, DEREK E. G. BRIGGS (2008)
How Gerarus lost its head: stem-group Orthoptera and Paraneoptera revisited.
Systematic Entomology
doi:10.1111/j.1365-3113.2008.00419.x


Gerarus という属の化石昆虫は,clypeus が肥大することなどによって,Kukalova-Peck によって準新翅類の stem group に位置づけられています.しかし,標本を電顕等で詳細に再検討した結果,その根拠となる clypeus の肥大は,化石の preparation に伴う人工産物であったことが明らかとなっています,さらに,この化石には exite がみられ,これが Kukalova-Peck の昆虫の祖先形質状態の解釈に非常に重要な役割を果たしている訳ですが,実際には exite の存在も同様に artefact だった様です.

著者らは言葉 (intensive preparation) を慎重に選んでますが,この化石頭部が「彫刻」によって作り出された可能性をもにおわせる(これらの構造が dense scratches によって取り囲まれている;周辺の構造より深い位置にある等)証拠が見て取れます.
posted by 茶坊主 at 11:39| Comment(3) | 六脚類

2007年12月03日

18S 論文感想ちょろっと

Zoology (Jena). 2007 110: 409-429.
Towards an 18S phylogeny of hexapods: Accounting for group-specific character covariance in optimized mixed nucleotide/doublet models.
Misof B, Niehuis O, Bischoff I, Rickert A, Erpenbeck D, Staniczek A.


Kjer (2004: Syst. Biol) の焼き直し論文な訳だが,2次構造のステム/ループを考慮したモデリング,解析を行うことで,18S のに含まれる系統情報の再検討を行ったもの.

まあ,18S だけっちゅうことで,それほどの進展も無い(まあ,他の分子情報を加えた所で,大して解像度が上がる事も無いだろう)が,系統樹を眺めた感想など(とくに Kjer の結果との比較で).

・Entognatha, Ectognatha の単系統性がそれぞれ事後確率1で支持されているかのように書いてあるが,そもそも外群を加えず,最深部の関係を議論することは無意味.Entognatha 3目の関係の議論もしているが,これも外群なしでは無意味(著者らの2次構造モデルは,多足類,甲殻類には適用できないそうな)

・Tricholepidion が他の双尾目と単系統群を構成しており,その最基部から分岐するようになっている

・有翅昆虫の単系統性もきちんと支持されている(PP=98%)

・カゲロウ+新翅類の支持は弱い

・不完全変態が単系統群となっている(PP=87% と低いが)

・直翅目が単系統群となっており,ナナフシがその姉妹群(Timema はガロアムシと組んでるが).PPは明記されていない

・半翅系昆虫も単系統群となっている(PP=95%)

・ネジレバネの位置づけは曖昧だが,少なくとも双翅類の姉妹群にはなっていない

ということで,所々ほほう,と思う所もあるが,まあこんなもんでしょ,ってな感じ.
posted by 茶坊主 at 12:02| Comment(0) | 六脚類

2007年04月19日

驚愕!甲虫は最も原始的な新翅類だった!!!

衝撃的な論文が出てました.ベニボタルの幼虫形態から,甲虫が実は最も原始的な新翅類であることの強固な証拠が見いだされています.

昆虫の大顎と頭蓋は,原始的な内顎類やイシノミでは1カ所,シミと有翅昆虫では2カ所で関節しています.後者はより派生的な状態で,この形質状態に基づき,シミ+有翅昆虫は双丘類と呼ばれる単系統群と認められており,これは分子データでも強く支持されます.

以下の論文では,ベニボタルの幼虫の大顎が,頭蓋と1カ所のみで関節していることを見いだし,このことから,甲虫が最も原始的な新翅類であるとの結論に至っています.

Sergey V. Kazantsev (2006)
Comparative morphology of mandibular structures in lycid larvae and its phylogenetic implications (Polyphaga, Hexapoda)
Acta Zoologica 87 (3), 229−238.


と,ここまで真剣に読んでいただいた方には申し訳ありませんが,この論文は「と印」の類いの論文です.ジャーナル自体は,しっかりしたものなのですが,なんでこんな論文が載るんでしょう??ベーチェルくんに,けちょんけちょんにけなされています.

Rolf G. Beutel, Ladislav Bocak, Milada Bocakova (2007)
Are Polyphaga (Coleoptera) really a basal neopteran lineage - a reply to Kazantsev
Acta Zoologica 88 (2), 153−158.
posted by 茶坊主 at 08:46| Comment(0) | 六脚類

2007年03月29日

Arthropod Systematics and Phylogeny

ドレスデンミーティングプロシーディングの第三弾.

Predel, R. & Roth, St. 2007. Neuropeptide Evolution and the Analysis of Phylogenetic Relationships in Blattaria (Hexapoda) . - Arthropod Systematics & Phylogeny, 65 (1): 3-6.

Krenn, H.W. 2007. Evidence from Mouthpart Structure on Interordinal Relationships
in Endopterygota? - Arthropod Systematics & Phylogeny, 65 (1): 7-14.

Ho¨rnschemeyer, T. & Willkommen, J. 2007. The Contribution of Flight System Characters to the Reconstruction of the Phylogeny of the Pterygota. - Arthropod Systematics & Phylogeny, 65 (1): 15-23.


こういう論文集は,読んでて楽しい.

Ho¨rnschemeyer の講演は,タイトルだけは知っていたけど,どんな内容かとっても気になっていた.論文を見る限りでは,過去の研究のレビューだけで,新しいネタは含まれていない.Zoraptera 論文を投稿する時にも,ひょっとしてかち合いやしないかと心配したが,杞憂だったようだ.しかし,ぼくが今進めている,旧翅類,直翅系昆虫,ネジレバネネタに関しては,彼らも目を付けているようだ.彼も目のつけどころは良いんだけど,形態の見方が甘いところがあるので,ま,大丈夫でしょう(と思いたい).続きを読む
posted by 茶坊主 at 09:13| Comment(0) | 六脚類

2006年12月25日

昆虫高次系統仮説の変遷

バイオディバーシティより

Fig1.pdf (178 kb)
主立った系統仮説

Fig2.pdf (525 kb)
18S から推定された系統樹.** は事後確率>99%,* は>95%
posted by 茶坊主 at 16:21| Comment(0) | 六脚類

2006年11月30日

続ドレスデンミーティング

ドレスデンミーティングのプロシーディング続編が出てます.

Arthropod Systematics and Phylogeny

卵巣やら脳みそやら目ん玉やら,形態からも新たな情報が続々と出て来ています.

また,Kjer(「ちぇあー」と発音するそうな)によるアライメント論争も要注目.
posted by 茶坊主 at 09:14| Comment(5) | 六脚類

2006年11月10日

Dresden Meeting on Insect Phylogeny

Dresden Meeting on Insect Phylogeny という,昆虫の系統学の最前線を議論する集いが,過去2回,ドレスデンを会場に開催されています.第一回の会合 (2003年) は目内の系統の最前線を,第二回 (2005年) では目間の系統を対象にしていました.第二回めの会合には,日本から筑波大の町田さんが招待され,発生学からのアプローチを披露しています.

この第一回会合の Proceedings は,Entomologische Abhandlungen という,ドレスデンの動物学博物館の紀要に発表されています.第二回め会合の Proceedings は,残念ながら発表者のうちのごく一部からしか寄せられていませんが,誌名を Arthropod Systematics & Phylogeny と変えた同誌に掲載されています.いずれも下記のページから PDF が入手できます.

Arthropod Systematics & Phylogeny

ほとんどインデックスされていないまいなーじゃーなるですが,この他にも網翅類の形態ベースの高次系統論文など,ドイツの伝統と底力を感じさせる,良い論文が山盛りです.

追記
posted by 茶坊主 at 11:53| Comment(0) | 六脚類

2006年10月20日

昆虫の高次系統のテキスト

最近 Grimaldi & Engel の書評をわりとしつこく取り上げてます.確かにそのボリューム,内容の濃厚さ,カラフルさ,バーゲンプライスと,良いことだらけの本ではありますが,Beutel も述べているように,系統仮説の取り扱いが一面的なのが非常に気になり,昆虫体系学の一般的なテキストとしてはどうかなぁ,というのが正直な感想です.

昆虫体系学のテキストとしては,いまだに Insects of Australia の右に出るものはいないと思います.1991 年刊行とやや古い感じも受けますが,バランスのとれた非常に良いテキストです.特に5章の Kristensen のレビューは Grimaldi & Engel と比較しながらぜひ読むべきです.分子や形態データもいろいろでては来ていますが,特に直翅系昆虫(下等新翅類)の高次系統に関しては,この段階から目立った進歩は無いと思っていいでしょう.もしどこかで見かけたら,迷わずゲットです!

ただし,第6章は取り扱い注意です.この章を読む上で,以下のレビューは必読です.

Meier, R. (1993) Book Review. Systematic Biology 42: 588-591.
posted by 茶坊主 at 10:53| Comment(0) | 六脚類

2006年10月12日

Grimaldi & Engel レビュ−3

Journal of Zoological Systematics & Evolutionary Research
Volume 43 Page 346 - November 2005


さすがベーチェル君!先日のブログで指摘した問題点をきちんと指摘してくれています.シスバイやくらぢすちくすのレビューはイマイチでしたが,このレビューはおすすめ!

(順番的には,このレビューが一番古いですね.見逃してました)
posted by 茶坊主 at 15:32| Comment(0) | 六脚類