2012年05月16日

クビナガカメムシミトコンと異翅高次系統

Li H, Liu H, Shi A, Sˇtys P, Zhou X, et al. (2012)
The Complete Mitochondrial Genome and Novel Gene Arrangement of the Unique-Headed Bug Stenopirates sp. (Hemiptera: Enicocephalidae).
PLoS ONE 7(1): e29419. doi:10.1371/journal.pone.0029419


ミトコンの配置転換がいくつか.高次系統の結果,クビナガカメムシが最基部に.核+ミトコンの部分配列から出された(ただしアライメントに問題のある)こっちの結果より納得出来る.
posted by 茶坊主 at 10:13| Comment(0) | 準新翅類

2012年04月03日

コナチャタテノミトコンゲノムと系統

コナチャタテのミトコンドリアが2つの環状遺伝子から構成されていることが明らかになりました.またミトコンドリアゲノムに基づく系統解析では,核の結果と異なり,シラミ目の単系統性が指示されています.

The Multipartite Mitochondrial Genome of Liposcelis bostrychophila: Insights into the Evolution of Mitochondrial Genomes in Bilateral Animals
Dan-Dan Wei, Renfu Shao, Ming-Long Yuan, Wei Dou, Stephen C. Barker, Jin-Jun Wang
PLoS ONE 10.1371/journal.pone.0033973
posted by 茶坊主 at 09:21| Comment(0) | 準新翅類

2012年01月18日

ツノゼミ論文ダメ押し

PLoS One にアメリカチームによる反論論文が出てます.写真なんかは,おれの論文よりはるかにきれいだね.論調は大体同じです.

Mikó I, Friedrich F, Yoder MJ, Hines HM, Deitz LL, et al. (2012)
On Dorsal Prothoracic Appendages in Treehoppers (Hemiptera: Membracidae) and the Nature of Morphological Evidence.
PLoS ONE 7(1): e30137. doi:10.1371/journal.pone.0030137
posted by 茶坊主 at 10:20| Comment(0) | 準新翅類

2011年12月14日

Paraneoptera と Acercaria

昨日の記事に関連して、上の二つの用語についても書いておこうと思います.ちなみに僕は、準新翅類 Paraneoptera を用いていて、Acercaria は用いていません.

かつての用法では、Paraneoptera=ジュズヒゲ+Acercaria でした.現在では、ジュズヒゲが直翅系昆虫であることはほぼ間違いないと言われるまでになりましたので、Paraneoptera = Acercaria と言うことになってしまいました.Paraneoptera にはもともとジュズヒゲも含まれていましたから、それを含まないグループであることを明確に示したい人たちによって、Acercaria という名称が使われています.ま,妥当ですね.

一方、Paraneoptera という用語は、元々,新翅類を大きく3つのグループに分類する際の名称として提唱された物です (Polyneoptera, Paraneoptera, Oligoneoptera).で,確かに Paraneoptera の中身は変わってはいますが、新翅類の3大グループの一つと言う位置づけは変わっていません(Polyneoptera の中身だって変わってます).それに対して Acercaria は,大グループ内の一分類群に与えられた名称です.ですから,新翅類の一つ下位の分類群の名称と意味では、Polyneoptera, Paraneoptera, Oligoneoptera (=Endopterygota, Holometabora) の利用が妥当とも言えます.で,僕はこちらを採用したわけです.

まあ命名規約も関係ない名前の話なので、どうでも良いっちゃぁ良いんですが、2001年に wing base の論文で Paraneoptera を使うように決め,現在でも使い続けているのは以上のような経緯です.
posted by 茶坊主 at 10:26| Comment(0) | 準新翅類

2011年09月01日

ツノゼミ ありえない誤り

またまた一ヶ月ぶり以上の更新です.5月30日に予告していたツノゼミ論文の問題点の指摘の件,ようやく論文がアクセプトされました.プレプリントは以下のリンクから.

Yoshizawa, K. (in press)
Treehopper's helmet is not homologous with wings (Hemiptera: Membracidae)
Systematic Entomology


中胸の一部を前胸と勘違いしちゃったり,切片も斜めに切っていたりで,形態の解釈も発生の解釈もはっきり言って正しい所が何一つ無い事を徹底的に指摘しました.

この論文はもともと,nature の brief communication arising に投稿しました.字数制限 (600 words + 図1枚) もあり,上記の論文で言えば,published data と conclusion の一部のみの内容で.一応,ちゃんとレフェリーにまで回りはしたのですが(レフェリーに回っただけで I'm please to inform you that... メールが届いた),結局リジェクト.エディタに文句のメールも書いたのですが,結局僕の言い分の正しさは認めてもらいつつも,「一般読者にウケる内容ではないから,反論は別の所でやって」と言う返事でした.自分の所のジャーナルで間違いだらけの論文を載せても,それを訂正するかどうかは,結局ウケるかどうかが基準なんですね.商業誌と言うのはこういうものだとよくわかりました.

で,Systematic Entomology になっちゃったわけですが,今度は字数制限も無いので,きちんと標本も見た上で(越川さん,感謝),helmet-wing 仮説をほぼ完膚なきまでに成敗する事が出来ました.嫌みっぽい締め方も出来たし.業績リストのインパクトで言えば残念な結果でしたが,きちんとした反論論文を書くと言う意味では,良い結果になったとは思います.
posted by 茶坊主 at 13:00| Comment(2) | 準新翅類

2011年04月06日

恐竜にシラミは寄生していたか?

本題に入る前に.震災,計画停電等で,長時間の系統解析が難しい方,いらっしゃるんじゃないでしょうか?当方,2GHz の Mac 2台(CUP 4つ)が普段開いていますので,データセットと実行コマンドを書いたファイルを送って頂ければ解析します.PAUP と MrBayes の取り扱いには馴れてます.他のソフトでも Mac なら対応します.

さて本題.宣伝もかねて.

シラミの分岐年代を推定した論文です.白亜紀中期頃,つまり恐竜の絶滅のはるか前にシラミが起源,放散していたことを示しました.最近羽毛を持った恐竜の化石もたくさん見つかっており,これらの恐竜におそらくシラミは寄生していただろうと考えられます.

Smith, V.S., Ford, T., Johnson, K.P., Johnson, P.C.D., Yoshizawa, K., Light, J.E.. (2011) Multiple lineages of lice pass through the K-Pg boundary. Biology Letters. doi:10.1098/rsbl.2011.0105.

プレプリントはこちらで配布しています.プレスリリースもあります.第一著者 Vince Smith は,すでにいくつかのメディアからインタビューを受けているようです (New York Times, New Scientist等).

Did dinosaurs have lice?
posted by 茶坊主 at 17:35| Comment(0) | 準新翅類

2010年07月05日

ヒトジラミゲノム

シラミ学会に合わせるかのようにヒトジラミのゲノム論文が出ました.学会でも,プロジェクトを主導した Barry がアツく語ってました.

学会終了後,フィールドワークその他で今日まで紹介する機会を逸していました.三浦さんのブログで紹介されていますので,こちらをご覧ください.追加ポイントとしては,ミトコンドリア一本鎖結合蛋白を欠くこと.シラミのミトコンのへんちくりんな進化傾向を理解する上で重要な発見になりそうです.

posted by 茶坊主 at 17:04| Comment(0) | 準新翅類

2010年03月08日

ウソ?ホント?シラミの多系統性

宣伝もかねて.

Yoshizawa, K., Johnson, K. P. (in press)
How stable is the “Polyphyly of Lice” hypothesis (Insecta: Psocodea)?: A comparison of phylogenetic signal in multiple genes
Molecular Phylogenetics and Evolution


(3/8 現在,DOI がまだ反映されていません.Preprint はこちら

18S の解析で得られたシラミの多系統性を,複数遺伝子(18S, Histone 3, Wingless, 16S, COI) で再検討した論文.複数遺伝子の同時解析により,シラミの多系統性(コナチャタテ科+マルツノハジラミ亜目の姉妹群関係)が高い確率で支持された一方,18S 以外の遺伝子には,この関係を支持する情報がほとんど含まれていないことを示しました.

面白いなと思ったのは,系統情報をほとんど持たない(ランダムデータと有意な違いの無い)COI のデータを 18S に加えて最尤解析することにより,18S 単独で解析した場合より劇的に高いブーツストラップ確率が得られたこと.詳しくは検討してませんが(誰かやりませんか?),おそらく進化傾向の極端に異なる遺伝子を組み合わせたデータに,単一の塩基置換モデルを適用することによってこのようなことが起こり得るようです.PAUP のような,遺伝子ごとに別々のモデルを適用できないソフトで,複数遺伝子の同時解析を行う際には注意すべき問題だと思います.

いずれにしても,今回の論文では,シラミの多系統性に関してはっきりとしたことは言えませんでした.
posted by 茶坊主 at 15:29| Comment(0) | 準新翅類

2008年07月22日

半翅目高次系統

18S rRNA hyper-elongation and the phylogeny of Euhemiptera (Insecta: Hemiptera)
Qiang Xie, Ying Tian, Leyi Zheng and Wenjun Bu
Molecular Phylogenetics and Evolution
Volume 47, Issue 2, May 2008, Pages 463-471


著者自身でデータを取ってる訳ではなく,GenBank からのデータのみ.

半翅目の 18S の二次構造アライメントは,実は前にやったことはあるんだけど,亜目間の系統を支持する情報がせいぜい 1, 2 塩基くらいしか無くて使い物にならないのでやめてたネタ.この論文では,二次構造を考慮することで解像度が上がったとか言ってるけど,Bayesian PP が <50 から 69 に上がった程度のこと.支持される関係は (Fulgoromorpha (Cicadomorpha (Coleorrhyncha, Heteroptera))) と,形態からはほとんど支持されない関係 [形態だと ((Fulgoromorpha, Cicadomorpha)(Coleorrhyncha, Heteroptera)) か (Cicadomorpha (Fulgoromorpha (Coleorrhyncha, Heteroptera)))] だが,駄目駄目データからの弱い支持なので,まあその程度ということで.
posted by 茶坊主 at 11:07| Comment(0) | 準新翅類

2007年02月16日

ヒトジラミゲノム

ヒトジラミ Pediculus humanus のゲノムプロジェクトのドラフトが公開されました.ぼく自身このプロジェクトには直接参加はしていないのですが,white paper 提出の際には,支持者の一人としてサインをしました.それがわずか2年ほど前ですから,あまりの速さにいやはやびっくりです.100メガを超えるファスタファイルとして公開されています.
posted by 茶坊主 at 14:31| Comment(0) | 準新翅類

2006年10月23日

シラミ研究

「その他」だけの更新では,アンテナから飛んでくる人に申し訳ないので,一応論文の紹介など.

シラミの研究をしていると,普通の昆虫分類の研究では出会えないような,とんでもない論文にぶつかる機会が多いですが,以下もその一例.

Did the "Brazilian" kill the pubic louse?

Sex Transm Infect. 2006 Jun;82(3):265-6

Authors: Armstrong NR, Wilson JD


残念ながら,北大からは本文が読めません.タイトルだけではブラジル人!?などと思ってしまいますが,実は Brazilian というてくにかるたーむがあることを学ぶことができました...

ちなみに論文検索は,PubMed:Phthirapteraってなかんじでやってます.

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posted by 茶坊主 at 10:22| Comment(0) | 準新翅類

2006年10月12日

シラミ化石レビュー

DALGLEISH, R. C., PALMA, R. L., PRICE, R. D. & SMITH, V. S. (2006)
Fossil lice (Insecta: Phthiraptera) reconsidered.
Systematic Entomology 31 (4), 648-651.


表題の通りですが,なんかレビューされる対象があまりにいい加減な論文で,結構ウケます.最節約的なアブストも,ここ界隈で話題となっています.
posted by 茶坊主 at 15:39| Comment(0) | 準新翅類

2006年04月20日

コナチャタテ科化石とシラミの単系統性

Proc Biol Sci. 2006 Mar 7;273(1586):625-33.
Fossil Liposcelididae and the lice ages (Insecta: Psocodea).
Grimaldi D, Engel MS.


コナチャタテの化石の記載と,シラミの起源に関する議論.コナチャタテの形質のコーディングにいくつか問題があり,またシラミの単系統性に関する筆者らのコメントにもいくつかの誤解がある.詳しいコメントはまた後ほど(以前に書き込みした論文のコピーが行方不明なため).

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posted by 茶坊主 at 08:49| Comment(0) | 準新翅類

2006年04月14日

シラミの多系統性

下の論文と同じ号に,僕らの論文も出てます.シラミの多系統性を,交尾器形態から検討したものです(宣伝宣伝).バイオディバーシティでは引用しています.

Yoshizawa, Kazunori & Johnson, Kevin P. (2006) Morphology of male genitalia in lice and their relatives and phylogenetic implications. Systematic Entomology 31 (2), 350-361.
posted by 茶坊主 at 16:15| Comment(0) | 準新翅類