2009年08月31日

有翅昆虫最基部系統

A phylogenomic approach to resolve the basal pterygote divergence.
Simon S, Strauss S, von Haeseler A, Hadrys H.
Mol Biol Evol. 2009 Aug 27. [Epub ahead of print]


ゲノムプロジェクト+EST による有翅昆虫最基部系統(トンボ、カゲロウ,新翅類)の解析.(トンボ(カゲロウ,新翅))を支持.ブーツストラップ値,事後確率も高く,尤度比検定 (AU, SH etc.) からも有意な結果が出ている.

形態からはそれなりに納得できる結果だが,「これで解決!」というにはもっともっとサンプルが必要でしょう.

(イントロの書き出しは,Ninomiya & Yoshizawa, 2009 をコピペされている気がする)
posted by 茶坊主 at 11:26| Comment(0) | 旧翅類

2009年01月09日

トンボの翅の基部構造

宣伝もかねて

Ninomiya, T. & Yoshizawa, K. (2009) A revised interpretation of the wing base structure in Odonata. Systematic Entomology (in press).

トンボの翅の基部構造の相同性には,極端に異なる解釈がいくつもあって,非常に議論の多い問題でした.特に松田隆一などは,トンボの翅は,他の有翅昆虫とは異なる起源を持っているとすら結論づけています.

上記論文では,トンボの翅基構造が,他の有翅昆虫と相同な構造であることを,いくつかの証拠に基づき議論しています.

この論文は,第一著者二宮君の修士論文をもとにしたもの.彼は修士論文発表会と昆虫学会の北海道支部会での発表の際,翅の基部構造の立体模型を作って解説するという,伝説のプレゼンテーションを行い,今でも語りぐさとなっています.

posted by 茶坊主 at 10:46| Comment(0) | 旧翅類

2008年10月17日

カゲロウのミトゲノム

The complete mitochondrial genome of Parafronurus youi (Insecta: Ephemeroptera) and phylogenetic position of the Ephemeroptera
Zhang, J., Zhou, C., Gai, Y., Song, D., Zhou, K.
Gene volume 424, issue 1-2, year 2008, pp. 18 - 24


カゲロウのミトコンドリアゲノム全配列解析と,アミノ酸コード領域(atp8 を除く)の塩基配列(第3コドン除く)とアミノ酸配列に基づく,カゲロウの系統的位置の推定.(カゲロウ(トンボ,新翅類))の関係が結構強く支持される.

ゲノム配列が分かってるサンプルの数が多くないので,OTU が少なくなるのはある程度仕方ないとして,合計10種は少なすぎるだろ.今見てみたら,ミトコンゲノムは Insecta で158種分のデータがすでに入手可能.特に,それぞれ3種のデータがあるイシノミやシミからそれぞれ1種しか選んでないし,Neoptera の基部に位置するカワゲラのサンプルが入っていないあたりは,昆虫の basal な関係を議論する上でかなり問題.ミトコンデータでこれだけ深い分岐の議論をすることの意義も含め,要再検討.
posted by 茶坊主 at 09:57| Comment(0) | 旧翅類

2007年06月14日

カゲロウの翅基構造

Yoshizawa, K., Ninomiya, T. Homology of the wing base
sclerites in Ephemeroptera (Insecta: Pterygota) - a reply to Willkommen &
Ho¨rnschemeyer, Arthropod Structure and Development (2007)


先日の記事で言及していたツッコミ論文がオンライン公開されています.Ho¨rnschemeyer 自身もレフェリーになってましたが,好意的なコメントを寄せてくれたおかげで,すんなりとアクセプトとなりました.

内容の詳細は,上記記事で指摘した内容の通りです.プレプリントは,ぼくのメインページにおいてあります.
posted by 茶坊主 at 09:05| Comment(0) | 旧翅類

2007年04月04日

カゲロウの Wing base

下の記事の追記の中で,「むむむ」と言及していた論文の accepted manuscript が公開されていました.(追記:今日のカツラくんの点取り占いが,ずばり今日の記事とぴったりでウケました.7点と比較的高得点なので,前向きに考えましょう)

The homology of wing base sclerites and flight muscles in Ephemeroptera and Neoptera and the morphology of the pterothorax of Habroleptoides confusa (Insecta: Ephemeroptera: Leptophlebiidae)
Arthropod Structure & Development, In Press
Jana Willkommen and Thomas Ho¨rnschemeyer


新翅類と旧翅類は翅の折り畳み方が全く違うこともあり,翅の基部構造の相同性の決定は困難を極めます.上記著者たちは,筋肉相を精査することで,この難問に一定の回答を与えています.一応論文を読む限り,著者らの解釈は,ぼくの結果とほぼ一致していますが,いくつかの点で問題があります.

1.彼らが anterior notal wing process と見なしている sclerite 1 は,実は 1Ax の一部である
2.彼らが 1Ax の一部である可能性を指摘している sclerite 5 は,median notal wing process である
3.形質進化の方向性の議論で,(カゲロウ(トンボ,新翅類)),((カゲロウ,トンボ)新翅類)に基づいた議論はしているが,(トンボ(カゲロウ,新翅類))の可能性を全く考慮していない

と言うことで,黙って見過ごすのもしゃくなので,short communication paper でも投稿してみようかと画策中です.

なお,旧翅類の翅基構造での本当の難問中の難問は,トンボの相同性です.松田隆一は,翅基構造のあまりの違いから,トンボとカゲロウ+新翅類で,独立に翅が進化した可能性さえ指摘しています.この問題には,うちの修士が今取り組んでおり,一応の方向性も見えて来ています.
posted by 茶坊主 at 09:23| Comment(0) | 旧翅類

2006年04月17日

トンボの高次系統

バイオディバーシティできちんと触れておきたかったんだけど,紙面の関係と,「目以上」ということで触れることのできなかった論文.

HASEGAWA, Eisuke & KASUYA, Eiiti (2006)
Phylogenetic analysis of the insect order Odonata using 28S and 16S rDNA sequences: a comparison between data sets with different evolutionary rates.
Entomological Science 9 (1), 55-66.


分子系統の結果,均翅亜目の非単系統性が示唆されている.ただし,均翅亜目の単系統性は,ルートの位置によっては支持されるので,さらに外群を加えることで結果が変わることもあると思う.

形態に基づく結果では,均翅亜目の単系統性が支持される.

Rehn, Andrew C. (2003)
Phylogenetic analysis of higher-level relationships of Odonata.
Systematic Entomology 28 (2), 181-240.


いずれにしても,トンボの高次系統は,有翅昆虫の起源や最深部の分岐関係の解明に大きな影響を与えるため,さらなる検討が期待される(というか,うちの修士が今やってます).
posted by 茶坊主 at 17:22| Comment(0) | 旧翅類