2009年04月08日

シラミのミトコンドリアゲノム

久しぶりの更新です.ちょっとブログの本題とは外れるのですが,なかなかに刺激的な論文と思いますので,アップします.

The single mitochondrial chromosome typical of animals has evolved into 18 minichromosomes in the human body louse, Pediculus humanus.
Shao R, Kirkness EF, Barker SC.
Genome Res. 2009 Mar 31. [Epub ahead of print]


普通ミトコンドリアには1個の環状ゲノムが存在していますが,ヒトジラミではそれが18個の mini-circle と呼ばれる複数のプラスミドによって構成されている事が見いだされました.さらには,ミトコンドリアの組み替えの存在も示されています.今のところ,吸血性のシラミのみで見つかっていて,ハジラミでは見つかっていません.

同様のミトコンドリアゲノムは,線虫やニハイチュウで報告はありますが,昆虫ではもちろん初めて.シラミを含め,一部の生物ではミトコンドリア遺伝子の配列の変異が極めて大きい事が知られていますが,そのプロセスを探る上でも重要な発見です.

実は,同様の mini-circle の存在は,僕らも昨年夏にシカハジラミで独立に見つけてました.クローニングの許可申請とかで時間を食ってるうちに,先を越されてしまった次第.しくしく…
posted by 茶坊主 at 13:28| Comment(0) | 分子進化

2009年01月23日

18S の hyper variable region

Phylogenetic comparison of local length plasticity of the small subunit of nuclear rDNAs among all Hexapoda orders and the impact of hyper-length-variation on alignment
Xie, Q., Tian, X., Qin, Y., Bu, W.
Molecular Phylogenetics and Evolution
volume 50, issue 2, year 2009, pp. 310 - 316


六脚類全オーダーの 18S の二次構造を決定して,hyper variable region の状態を検討した論文.まあ,これまでの18S論文でもさんざん言われて来たことで,もう良いだろうと思いながらぱらぱら眺めていて,ふと気になったのがジュズヒゲムシ.ハサミムシにどっぷりはまり込んでいるし,Suppl. Data 見ると,二次構造の状態も完全に一致している.そんなはずは無いと思って確認してみると…

データの由来は Terry & Whiting が使っている Zorotypus hubbardi.で,部分配列を拾って BLAST かけてみると,引っかかるのは全てハサミムシ.ジュズヒゲの 18S は,僕が取った Z. hubbardi のデータも含め,6つもあるのに全く引っかかってこない…つまりは,このデータは Whiting お得意のコンタミ(もしくは同定ミス)で,この著者たちは運悪くその一つを拾ってしまいました,チャンチャン,ということ.

さらに言えば,Terry & Whiting の結果も,コンタミが強く影響している可能性が高いということです(他に使われている2種は大丈夫).こんなのはアライメントしているときに気づきそうなもんだけど…POY の弊害ですね.
posted by 茶坊主 at 10:03| Comment(0) | 分子進化