2006年04月20日

コナチャタテ科化石とシラミの単系統性

Proc Biol Sci. 2006 Mar 7;273(1586):625-33.
Fossil Liposcelididae and the lice ages (Insecta: Psocodea).
Grimaldi D, Engel MS.


コナチャタテの化石の記載と,シラミの起源に関する議論.コナチャタテの形質のコーディングにいくつか問題があり,またシラミの単系統性に関する筆者らのコメントにもいくつかの誤解がある.詳しいコメントはまた後ほど(以前に書き込みした論文のコピーが行方不明なため).

机の上をほじくっててようやく出てきた.

形質のコーディングの問題点:
 Character 9: Cretoscelis を除くコナチャタテの共有派生形質として,ocelli closely positioned on flat surface があげられているが,この状態はコチャタテ亜目,コナチャタテ亜目に広く見られ,形質の極性に疑問あり.
 Character 16: Rs vein の消失が Cretoscelis を除くコナチャタテの共有派生形質となっているが,Rs vein は Embidopsocus などにも見られるため,無効.
 Character 19: Pearman's organ の消失が Cretoscelis を除くコナチャタテの共有派生形質となっているが,Pearman's organ の消失は,短翅や無翅のチャタテには広く見られるため,形質の有効性に疑問あり.
 ということで,Cretoscelis がコナチャタテ科の最基部で分化したとする根拠は,無いかもしくは薄弱.

シラミの単系統性に関する議論の間違い(または誤解):
 ・Sphaeropsocidae が解析に含まれていないとする指摘は誤り.ちゃんと Badonnelia を解析している.
 ・シラミの多系統性には,いったん消失した翅の再獲得が必要,とし,シラミの単系統性を支持しているが,我々はそのような議論はしていない.翅の消失および寄生性の獲得は,シラミのそれぞれの系統で独立に起こったとするのが我々の議論.

彼らは (i) で寄生性の単一起源と自由生活の二次的起源に関わる問題を指摘し,次に this hypothesis also requires でつないで,(ii) 寄生性の独立起源の問題を指摘しているが,これら2つは両立するものではなく,並記する指摘の仕方は間違い(i と ii を or で結ぶのであれば理解できる).

シラミの多系統性は,分子形態いずれからも支持されており,ぼくとしてはある程度の確信は持っている.

Johnson, K.P., Yoshizawa, K. & Smith, V.S. 2004 Multiple origins of parasitism in lice. Proc. R. Soc. B271, 1771−1776

Yoshizawa, Kazunori & Johnson, Kevin P. (2006) Morphology of male genitalia in lice and their relatives and phylogenetic implications. Systematic Entomology 31 (2), 350-361.
posted by 茶坊主 at 08:49| Comment(0) | 準新翅類
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