2007年06月06日

Holotype と Moltype

先日,新しく来た人に抽出手順を見せながら話していて,これは書いておいた方がいいなと思ったので,ブログの趣旨からは外れますが,ぼくのやっているDNA抽出の手順を.こちらの話題とも関係します.

分類をやっている人なら,必ず交尾器なりその他の部位を外して,KOH なり乳酸なりで筋肉等を溶かして,観察を行う,ということをやっていると思います.ぼくは,Qiagen のキットを使って,このKOH処理と同様の手順をふんで,抽出を行っています.詳しくはこちら.サンプルを粉砕する必要は全くなく,非常にきれいな標本を残すことができます.そして新種を記載する場合,特別な事情が無い限り,この抽出した標本を holotype に指定します.

命名規約の肝の一つが,このタイプ概念だと思います.ただ一つの客観的な実体をネームポインタートすることで,名称に関する混乱を最小限に抑えることができます.DNA バーコーディングもだいぶ一般的になって来ましたが,ここで問題となるのは,形態の holotype と分子の moltype とでも言うべき2つのネームポインターが混在する状況が生まれつつあるということです.タイプ標本が古い場合には,抽出した証拠標本と照らし合わせるなどしてこの混乱を最小限に抑える努力をするべきですし,可能であれば,holotype からDNA を抽出する,もしくは DNA を抽出した個体を holotype に指定することで,このような混乱の心配は全くなくなります.
posted by 茶坊主 at 09:56| Comment(0) | 分子系統
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。