2010年10月02日

完全変態形態系統

Morphological and molecular evidence converge upon a robust phylogeny of the megadiverse Holometabola
Cladistics
Rolf G. Beutel Frank Friedrich Thomas Hörnschemeyer Hans Pohl Frank Hünefeld Felix Beckmann Rudolf Meier Bernhard Misof Michael F. Whiting Lars Vilhelmsen
DOI: 10.1111/j.1096-0031.2010.00338.x


昨年のドレスデンミーティングで既に話は聞いていたが,ようやく論文が出た.成虫幼虫蛹全てのステージから356形質をコードして系統解析を行っている.

結果はだいたい納得できるもの.特に膜翅目が完全変態の最基部から分岐するとする系統樹は,形態に基づくものとしては初めて示されたものじゃないだろうか.結構多くの形質がこれを支持している.

もうひとつのポイントは,ネジレバネ+甲虫.ただし,こちらをサポートする形質は弱く,特に獲得形質が見られない(退化形質からの支持のみ).翅の基部からの支持も全く得られていない.

明らかにおかしい点は,ネジレバネ+甲虫が,長翅系昆虫の中にどっぷり入っている点.著者らは,ネジレバネの極端な特殊化が原因であろうとしている.

個人的にムムッと思ったのが,パーツごとの系統情報を検討した FIg. 3.翅の基部に含まれるホモプラシーが非常に多いということを示している.ただ,コードされた形質を見てみると (Appendix 3),明らかに見方が甘いし,無理して量的な形質なんかもとりすぎてる印象.もっといい質的な違いがあちこちありますって.ちなみに直翅系昆虫の解析では,RI=0.8 以上をたたき出している.

先日,Olympus SZX16 を(中古品を新品の半額以下で.自腹を切って…いたたたた)入手した.もちろん最大の目的は翅の基部構造のより詳細な検討.入手して一番最初に見たのはネジレバネとジョウカイボンの翅の基部.ほんとよく見える.前々から,翅の基部はネジレバネと甲虫で似てるとは思っていたけど,いい顕微鏡で見てみると今までちょっとあいまいだったところがかなりクリアになってきた.来年3月くらいから,ネジレバネプロジェクトを共同研究として本格的に進める予定なので,今から楽しみ.そういう意味でも,この論文は色々示唆に富んで面白かった.
posted by 茶坊主 at 15:12| Comment(0) | 完全変態
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