宣伝もかねて.
Yoshizawa, K., Johnson, K. P. (in press)
How stable is the “Polyphyly of Lice” hypothesis (Insecta: Psocodea)?: A comparison of phylogenetic signal in multiple genes
Molecular Phylogenetics and Evolution
(3/8 現在,DOI がまだ反映されていません.Preprint はこちら)
18S の解析で得られたシラミの多系統性を,複数遺伝子(18S, Histone 3, Wingless, 16S, COI) で再検討した論文.複数遺伝子の同時解析により,シラミの多系統性(コナチャタテ科+マルツノハジラミ亜目の姉妹群関係)が高い確率で支持された一方,18S 以外の遺伝子には,この関係を支持する情報がほとんど含まれていないことを示しました.
面白いなと思ったのは,系統情報をほとんど持たない(ランダムデータと有意な違いの無い)COI のデータを 18S に加えて最尤解析することにより,18S 単独で解析した場合より劇的に高いブーツストラップ確率が得られたこと.詳しくは検討してませんが(誰かやりませんか?),おそらく進化傾向の極端に異なる遺伝子を組み合わせたデータに,単一の塩基置換モデルを適用することによってこのようなことが起こり得るようです.PAUP のような,遺伝子ごとに別々のモデルを適用できないソフトで,複数遺伝子の同時解析を行う際には注意すべき問題だと思います.
いずれにしても,今回の論文では,シラミの多系統性に関してはっきりとしたことは言えませんでした.
2010年03月08日
ウソ?ホント?シラミの多系統性
posted by 茶坊主 at 15:29| Comment(0)
| 準新翅類
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