2007年01月22日

ありんこ系統その2

PNAS はありんこがお好きなようで.

Evaluating alternative hypotheses for the early evolution and diversification of ants
Sea´n G. Brady, Ted R. Schultz, Brian L. Fisher, and Philip S. Ward
doi:10.1073/pnas.0605858103 2006;103;18172-18177; originally published online Nov 1, 2006; PNAS


Charting uncertainty about ant origins
Ross H. Crozier
doi:10.1073/pnas.0608880103 2006;103;18029-18030; originally published online Nov 20, 2006; PNAS


下の論文は上の論文のレビューです.

"We generated the largest ant molecular phylogenetic data set published to date" なんてアブストに書いてあるのを読んで,また量で勝負のごり押し論文かぁ,と思ったのですが,この論文は結構好感度高かったです.外群の影響をきちんと検討しているから.

外群を解析に加えることの悪影響として,系統的に遠い仲間を加えることでノイズが増えることや,外群が long branch attraction を引き起こすことなどがあげられるでしょう.

外群による long branch attraction の影響については,あまり気にかけていない論文が多いように思います.内群に比べてサンプリングが粗だったり,またそもそも外群んと内群の分岐が深かったりが原因となって,多くの場合,内群分岐点と外群分岐点の間は long branch となります.そのため,内群にサンプリングが粗なグループ(1属1種とか)や進化速度の加速したグループがあると,それと外群が引き寄せ合って,誤ったところに根がついちゃう恐れが高いわけです.

今回のありんこ系統樹でも,ベストな樹ではムカシアリ Leptanilinae が最基部から分岐しているようになっていますが,樹長を見るとlong branch の影響が強く疑われます.実際,著者らは9ヶ所の根の位置を検討していますが,そのうち5ヶ所ではベストな樹と有意差がありません.また外群を加えた解析と取り除いた解析では,内群の分岐関係も変わって来ます.

ということで,結局アリの系統ということではもやもやの残る論文ではありますが,いい加減な結果を強く主張する論文に比べると,非常にすっきりとした読後感となっています.
posted by 茶坊主 at 10:23| Comment(0) | 完全変態
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。