2007年01月16日

脱皮動物分子系統

Stuart J. Longhorn, Peter G. Foster, Alfried P. Vogler
The nematode-arthropod clade revisited: phylogenomic analyses from ribosomal protein genes misled by shared evolutionary biases
Cladistics (OnlineEarly Articles).
doi:10.1111/j.1096-0031.2006.00132.x


一般に節足動物と線虫類は単系統群,脱皮動物 Ecdysozoa に分類され,18S rDNA 塩基配列Hox 遺伝子に基づく解析でもこれが支持されます.一方で,数百から数千の遺伝領域に基づく phylogenomic analyses では,節足動物と脊索動物が姉妹群 Coelomata となる傾向があるそうです.ただし,進化速度の速い領域を除いて解析すると,Coelomata の支持は弱くなる,ということで,long branch attraction が強く疑われてもいます.

この論文では,この問題についての検討を行っていますが,シミュレーションデータに基づく解析を行っている点がポイント.脱皮動物が単系統となる系統樹上でシミュレーションデータを発生させても,そのデータを解析すると Coelomata が単系統になってしまう,つまり phylogenomic 解析の結果は,進化的バイアスによる人工産物の可能性が高い,という結果になっています.

昆虫の高次系統解析なんかでも,最近はデータが多けりゃ良いんだ!みたいな感じで,進化速度爆速のミトコンのタンパクコード領域まで含めて解析しちゃったりする例もありますが,ここら辺,肝に銘じるべきでしょうね.
posted by 茶坊主 at 16:23| Comment(0) | 分子系統
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