2006年10月13日

ミトコンドリアゲノム

オーストラリアの巨人(表現型上ね),Steve Cameron がミトコンドリアゲノムの系統解析の有用性に関して,ここ数年立て続けに論文を出して来ています.目間と言ったような深い関係には,どうやらダメそう,というのがこれまでの感触でした.

Cameron, S.L., Miller, K.B., D'Haese, C.A., Whiting, M.F. & Barker, S.C. (2004) Mitochondrial genome data alone are not enough to unambiguously resolve the relationships of Entognatha, Insecta and Crustacea sensu lato (Arthropoda). Cladistics, 20, 534−557.

Cameron, S.L., Barker, S.C. & Whiting, M.F. (2006) Mitochondrial genomics and the new insect order Mantophasmatodea. Molecular Phylogenetics and Evolution, 38, 274−279.

一方,現在印刷中の Syst.Entomol.の論文では,目内の系統であれば,非常に有用な系統情報をもたらしうるという結果を,双翅目の解析から述べています.

CAMERON, STEPHEN L., LAMBKIN, CHRISTINE L., BARKER, STEPHEN C. & WHITING, MICHAEL F. (2006)
A mitochondrial genome phylogeny of Diptera: whole genome sequence data accurately resolve relationships over broad timescales with high precision.
Systematic Entomology 0 (0), ???-???.


頭っから否定する訳ではありませんが,やっぱりこの程度のサンプル数ではまだ分からんだろう,と思います.今回の結果も,基本的には形態でも比較的良く分かっていた関係を支持したにすぎない訳で,分子系統に本当に期待されているのは,形態じゃ手に負えないようなところがどれだけ解けるか,でしょう.分子形態両方からやってて思うのは,結局形態で分からないところは分子でも分からないまま,というケースがあまりにも多いということ.先日紹介したありんこの系統でもそんな感じですよね.

ちなみに第一著者の Steve は,Whiting のところでポスドクをやっていたのですが,みごとCSIROのポストをゲットしたそうです.彼はお酒が好きで,モルモン教徒の多いソルトレークシティでの生活に辟易していたので,さぞお喜びでしょう.
posted by 茶坊主 at 10:48| Comment(0) | 分子系統
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。