2010年10月08日

ネジレバネ問題未だ終わらず

McKenna DD, Farrell BD, 2010 9-Genes Reinforce the Phylogeny of Holometabola and Yield Alternate Views on the Phylogenetic Placement of Strepsiptera. PLoS ONE 5(7): e11887. doi:10.1371/journal.pone.0011887

注目すべきは,rRNA を含めた解析で,ネジレバネが甲虫の中に入っている点.これは十分ありえると思う.

rRNA を除くとネジレバネは脈翅系の姉妹群に来る.

どちらのデータセットでも,ネジレバネは相変わらず long branch のまま.

ということで,ネジレバネ問題に関しては,まだちゃんとおいしいネタが残ってる.ただし,Neuropteroidea の単系統性は,いずれのデータでも非常に強く支持されており,平均棍類は完全におさらば(rRNA を含めても否定される訳だし).
posted by 茶坊主 at 08:55| Comment(0) | 完全変態

2010年10月05日

完全変態論文つっこみ

こちらの論文について.

・Fig. 3 のグレーのボックスとその中の数字の説明が書いてない.これは,多数決合意樹の%とのこと(第一著者に確認済み)

・翅基構造データのみの解析では,最短樹が10万本以上出てきたと書かれているが,おそらくこれは無翅の昆虫(ユキシリアゲとかノミ)を解析から除外してないのが原因.これらを除外した上で,翅基構造のみで解析すると98本の最短樹が得られる(著者に突っ込み入れるも今の所返答無し).
posted by 茶坊主 at 17:43| Comment(0) | 完全変態

2010年10月02日

完全変態形態系統

Morphological and molecular evidence converge upon a robust phylogeny of the megadiverse Holometabola
Cladistics
Rolf G. Beutel Frank Friedrich Thomas Hörnschemeyer Hans Pohl Frank Hünefeld Felix Beckmann Rudolf Meier Bernhard Misof Michael F. Whiting Lars Vilhelmsen
DOI: 10.1111/j.1096-0031.2010.00338.x


昨年のドレスデンミーティングで既に話は聞いていたが,ようやく論文が出た.成虫幼虫蛹全てのステージから356形質をコードして系統解析を行っている.

結果はだいたい納得できるもの.特に膜翅目が完全変態の最基部から分岐するとする系統樹は,形態に基づくものとしては初めて示されたものじゃないだろうか.結構多くの形質がこれを支持している.

もうひとつのポイントは,ネジレバネ+甲虫.ただし,こちらをサポートする形質は弱く,特に獲得形質が見られない(退化形質からの支持のみ).翅の基部からの支持も全く得られていない.

明らかにおかしい点は,ネジレバネ+甲虫が,長翅系昆虫の中にどっぷり入っている点.著者らは,ネジレバネの極端な特殊化が原因であろうとしている.

個人的にムムッと思ったのが,パーツごとの系統情報を検討した FIg. 3.翅の基部に含まれるホモプラシーが非常に多いということを示している.ただ,コードされた形質を見てみると (Appendix 3),明らかに見方が甘いし,無理して量的な形質なんかもとりすぎてる印象.もっといい質的な違いがあちこちありますって.ちなみに直翅系昆虫の解析では,RI=0.8 以上をたたき出している.

先日,Olympus SZX16 を(中古品を新品の半額以下で.自腹を切って…いたたたた)入手した.もちろん最大の目的は翅の基部構造のより詳細な検討.入手して一番最初に見たのはネジレバネとジョウカイボンの翅の基部.ほんとよく見える.前々から,翅の基部はネジレバネと甲虫で似てるとは思っていたけど,いい顕微鏡で見てみると今までちょっとあいまいだったところがかなりクリアになってきた.来年3月くらいから,ネジレバネプロジェクトを共同研究として本格的に進める予定なので,今から楽しみ.そういう意味でも,この論文は色々示唆に富んで面白かった.
posted by 茶坊主 at 15:12| Comment(0) | 完全変態